ずっと、調子が悪くて、ちょっと遡りますが、水曜日の訪問看護は、たいへん心に残りました。
いつものように、看護士さんが訪問され、母の様子をくわしく報告しました。
先週、床ずれが悪化したあと、やっと本人がやる気を出して、悪い姿勢をなるべくしないように気をつけ、快方に向かっていることなど。
その話をしたあと、看護士さんは、「なんとか半日でも起きるようになれば、いいですね。」
というので、「ここ数日は、午後は部屋にいて、寝ないで、坐っています」と答えた。
「でも、なにもしないで坐っているのも、大変ですね。テレビを見たり、本を読んだり、ほかになにか興味のあることはないのですか」
「ここ十年、そういうことはまったくないです。60代のころは、一時NHKの英会話の本を買っては、簡単な単語をノートに書いたりしてましたが」
「お母さんと歌をうたったりしていると、難しい歌詞を読んだりできるので、そういう言語のほうが、いいのかもしれませんね」
「でも、もう10年以上前の話ですから」
すると、看護士さんが母に向かって、
「お母さん、今度、NHKの英語のテキスト持ってきますから、いっしょにやりませんか」と聞いた。
母は、きょとんとしていた。さらに、看護士さんは、自分も今NHKの英語のテキストで少しやっているから、どうですかと聞く。何度か、説明しながら、母はようやくわかったらしく、にこにこと「はい」と答えた。
果たして、来週から英会話をやるかどうかは、別として、この看護士さんの熱意には、頭が下がった。
ふつう、こういうやりとりのあと、家族に試してみてくださいとかいうのが普通なのに、看護士の仕事と思ってくださるにしても、そこまではやらないと思う。
看護士としての医療行為などならば、それほど感動しなかったが、さすがにその日は、胸が熱くなり、来ていただいてほんとうによかったと思った。
実際、母が英語をやるかどうかは、さておき、母にも、この看護士さんの気持ちは、伝わったようで、それから、「看護士さんが、坐ってなさいといったから」と半日は、坐っているように心がけている。
私が、何週間も説得してようやくやったことが、こんなに簡単に実行するとは、びっくりしている。
人というのは、誠意というのは、必ず伝わるのかもしれない。親子だと、ちょっと難しいけど。