よく「秋眠」している母 


  「春眠」ではなく、母は今よく「秋眠」している。

   朝の寝起きも、あまりよくないが、ほとんどなにもない日は、半日寝ている。
   水曜日は、昼にヘルパーさんが訪問したが、チャイムを4回押しても、返事がなく、申し合わせのとおり、母の部屋のサッシ戸(ロックしていない)から入って、母の布団をめくったら、やっと気付いたとのこと。
   私が帰宅したのは、午後3時ごろで、母はまだ部屋で寝ていた。(昼飯食べて又寝たらしい)。その上、玄関も閉めてなかったので、食べるのに夢中だったのか、食べてから、眠かったので忘れたのか。
   ヘルパーさんには、これから、帰るときは、玄関先まで母に見送りさせてくださいとお願いするつもりだ。
   午後4時に、看護士さんが来たときは、たっぷりと寝たので、元気な様子で、いっしょに外を歩いた。

   ディサービスへは、なんの抵抗もなく、よろこんで行っているのを、見ていると、はじめのころよりも、感想が違ってきた。
   はじめのころは、ヘルパーさんや訪問看護のほうが、母には向いているなと思っていた。一対一で、会話したりすることで、母の表情もよくなっていったからだ。
   しかし、一年ぐらいして、今度は、まわりに関心のもたなかった母が、ディサービスへ行く日は、けっして忘れないし、その話になると、満面笑みを浮かべるのに、驚いた。
   人は、社会の中で生かされているのだなとつくづく感じた。ディサービスに通うほかの通所者たちの存在も、母には、とても大切なのだと思った。
   個人的に、誰かと仲良くなって、話をすることはないが、そこに集うという行為だけで、こんなに大きな力があるもんだなとつくづく思う。
   だから、介護は、家族だけでは、どんなに手厚くやっていても、限界があるのだなと思う。家族以外のそうした一見「手助け」とは見えないものが、実は、とても、大切なのだと、最近つくづく感じる。
   かつての母は、世の中を敵にまわしていたような考えをもっていた。近所中で、自分の悪口をいっているとか、物をとられたりしているとか。人間不信まで、直してしまったのかなと、びっくりしている。
 
 

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