ディサービス記(3/20)

 前日の夕方に、ディサービスにもっていく、上履きや連絡帳などを準備して、「明日ね」と母に言う。いまでは、もう心得ていて、大きくうなづく。初めのころは、「毎週いくの?」といつも聞いていた。どうも、関心が薄いのか、システムがわかっていなくて、毎週行くということを忘れてしまうらしい。
 ところが、最近は、ほんとうに心から楽しみにしているのが、顔つきでわかる。「やる気満々みたいよ」と夫にいうと、「続きそうだね」と喜んでいた。母は、やる気がでると、けっこう我慢づよく、ひとつの事に打ち込むタイプなのだ。
 今月は、創作活動で、藁ぞうりを作るらしいが、自由参加だ。母に聞くと、むりだというので、そう連絡帳に書く。今は、とにかく楽しければそれでよし。家で、十年以上も、誰とのつきあいもなく、暮らしていたのだから。
 今日は、帰宅してから母に、なにをしていたかを聞いた。藁ぞうりをしていないグループは、7、8人らしい。「なにしてたかな。」としばらく思い出していたが、「輪投げ」と言った。
 「楽しそうだね。ちゃんと入ったの」もう、母は満面笑みで、「入った」という。
 「お昼になにを食べたの」
 「カレーかな。」というので、「先週と同じね」と私がいうと、もう一度思い出しながら、「さけ」と答えた。ああなるほどね。いつも、うちは鮭をよく食べるから、珍しくなかったんだ。
 「お菓子も、いつものカステラみたいなものなの?」
 「そう、いつもの。一個だけなの」食いしん坊め。私は、大笑い。
 「ひとつで十分よ」
 その夜、母はいつも催促しないとなかなか風呂に入らないのに、さっさっと入り、ぐっすりと寝ていた。
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