母は、若いころから人間関係を作るうえではあまり得意ではない。友人もほとんどなく、兄弟とも疎遠であった。また、人が集まるところへ行くことや、いっしょに過ごすのも、苦手であった。
年をとると、足腰が弱くなり、ますますひきこもりがちになった。その上、精神病を患っていると、毎日薬を飲まなければならないので、その副作用に苦しめられた。
母は、ずっとひとりで通院していたが、自分からそういう症状を訴えない傾向にある。医師に「どうですか」と聞かれても、「ふつうです」とか簡単に言うだけのため、ほとんど何年も同じ処方のままであった。
その傾向は、家族に対しても同様で、今では私には正直に話すが、昔は、「具合悪いの」と家族が聞いても、「心配しないで、大丈夫」という答えだけしかかえってこなかった。ところが、大丈夫どころか、それが、悪化していく始まりでもあったのだ。
人の前では、けっして本心は言わないというのが、母の性格であった。そして、それは、幻聴でいつも「自分の悪口」を聞かされているためでもあった。
ヘルパーが訪問してから、母は、少し表情が明るくなり、会話もすこし前よりも、持続するようになった。いろいろと自分に親切にしてくれるヘルパーが、よほどうれしかったのだろう。
私も、はじめの一ヶ月は、この良い兆候がうれしく、「ヘルパーさん効果」と呼んで喜んでいた。
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