うつ状態のようだ


[訪問看護記6/7]

 いま、母はどうもうつ状態のようだ。先週から、薬の減量をはじめ、やっと体も慣れたのだが、毎朝、起床後坐りこんで動こうとしない。それが、一時間近く。
 家族がみな起きたあと、パン皿を並べる音を聞いて、食堂に出てくる。じっと、その様子を見るが、手伝おうとしない。「牛乳出して」というと、急にわなわなとふるわせて「体が動かない」という。それまで、そんな様子もないのに。
 こんな調子で、看護士さんが午後訪問した。午後は、比較的元気な顔をしていた。
 私が、母の様子を手短に説明し、そのあと、看護士さんに健康チェックをしてもらい、歌をうたってから、そとに連れ出してくれた。
 帰ってくると、「今日は、やはりあまり元気がないですね。歩き方もよくなくて、姿勢がわるいのか、不安定でした。途中で、足の裏が痛いというので、引きかえしたのですが」とのこと。看護士さんが、母の足の裏に魚の目でもできているのかなと思って、診てくれた。
 「痛いところは、どこですか」
 「どこも、痛くないです」と母は、けろりとしてる。
 以前も、同じようなことがあった。なにか、やりたくない、したくないから、そういう風に言うのか。そのときは、本人は、そう感じたのか。
 看護士さんも、私の説明にちょっとびっくりした様子だった。
 実は、「ぜんかれん」の会誌の中で、そういう患者の例を読んで、ようやく、母もこれなのだとわかったのだ。幻覚の一種なのだそうだ。
 英語は、一応、看護士さんとやっていたが、今日は、ちょっといつもと違って、やる気はなかったようだ。
 母の場合、発病当初は、「うつ病」だったとのこと。統合失調症と「うつ病」の区別については、「ぜんかれん」の会誌で述べられていたが、非常に難しいらしい。担当医師にもよるし、精神科にかかるか、心療内科で違ってくる。
 統合失調症のはげしい幻覚や錯乱などの症状が出てくると、ひとつの判断材料となるらしい。だから、母のように、急性期でない患者は、うつ病によく似た症状をもっているのである。
 うちの母も、「躁鬱」を定期的に繰り返している。ノートをつけていると、それが、はっきりとわかる。今は、完全に「うつ」のようだ。
 ある医師が「躁鬱病」は、心の「風邪」と言っていた。だから、家族があまり、一喜一憂しないようにしなければいけないらしい。これが、難しい。

スカシユリが咲きました

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