足の体操をして

[ディサービス記6/12]

 今朝は、母は7時まえに起床して、ひとりで食事をし、薬を飲んだ。だから、まさか私の顔をみるなり、「歩けないから、行けないわ」というとは予想もしなかった。
 顔色もいいし、手足にもふるえもない。体は、どこも悪くないのに、心がブレーキをかけているのだ。このごろ、この状態が続いているが、いつもは言葉で説得をしたりしていた。
 今朝は、実際に母とふたりで足の体操をして、大丈夫だということを証明したほうがいいと考えた。
 部屋の中で、いくつか母とやってみた。
 1.両手を挙げて、ばんざいの格好で深呼吸4回。
 2.両手の指を組んで、手首を反転させて、前に突き出す。ひっこめる。
 3.ゆっくりとしゃがんで、そのまま起きる。4回。
 4.片方の足を一歩踏み出して、前に重心をかける、その足をもとに戻す。左右4回。
 5.家の階段の上り下り、一往復。てすりを使って。
 6.背筋を伸ばして、歩く。何週かする。
 これだけのメニューを全部こなしたのに、まだ「歩けない」という母に、最後は、庭に連れ出して、ちょっと段差のあるところも歩かせた。まったく、問題なし。
 いつも、外を歩いているときは、背が曲がり、しかもあまり意識をもたずに、ぼーとした表情で歩いている。その上、「自分は歩けないのだ」と思って歩いているのだろう。庭の階段は、三段ぐらいだが、植木があるので、注意が必要だ。そういう場面では、母の足は、実に正確に運んでいた。私は、ずっとそばで見ていたが、なぜ、こんなにできるのに、認めようとしないのかと理解できなかった。
 これが、精神障害者というものなのかもしれない。本人の心にある「ブレーキ」がどうしても、ついてくるのだ。それを、取り除くのは思った以上に大変だ。
 「低空飛行でいいよ」というあの言葉は、そうした患者には、心のブレーキをゆるめる働きがあるのかもしれないな。
  母は、その後、いつものように進んでディサービスに行き、楽しそうな顔をして戻ってきた。また、明日も心のブレーキがかかるかもしれないが、低空飛行でいこう。




孔雀サボテンが咲きました



 
 

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